石破内閣となり、いわゆる年収「130万の壁」「103万円の壁」を見直す動きがあり、様々なニュースがありました。
ここでは、聞いたことあるけど年収の壁ってどういうことなのか?
実際どんな影響があるのかをまとめてみました。
年収130万円の壁とは?
年収130万円の壁とは、主に社会保険(健康保険と厚生年金)の加入義務が発生する収入ラインを指します。
この壁を超えると、扶養家族としてのメリットが失われ、本人に社会保険料の負担が発生します。
具体的な内容
1. 健康保険・厚生年金の扶養から外れる
- 扶養内(年収130万円未満): 配偶者や親の扶養に入ることで、健康保険と厚生年金の保険料を払う必要がありません。
- この場合、扶養者(多くは夫)の保険料だけで家族全体がカバーされます。
- 扶養外(年収130万円以上): 自分で社会保険に加入する必要があり、給与から健康保険料や厚生年金保険料が天引きされます。
- 保険料率は地域や給与額により異なりますが、一般的に収入の約15%程度が保険料として引かれます。
- つまりその分手取り収入が減ってしまうことになります。
2. 適用範囲の例外(106万円の壁)
- 以下の条件を満たす場合は、年収106万円以上で社会保険加入が義務となります。
- 従業員が501人以上の企業に勤務。
- 週の労働時間が20時間以上。
- 月額賃金が88,000円以上(年収106万円相当)。
- 勤務期間が1年以上見込まれる。
- 学生でない。
- 上記条件を満たさない場合は、130万円の壁が基準となります。
3. 130万円を超える場合の影響
- 可処分所得: 社会保険料の負担が発生するため、年収が増えても手取り額が急激に増えるわけではありません。例えば、年収130万円を超えた時点で保険料負担が月額数万円程度発生します。
- 扶養者への影響: 配偶者控除や扶養控除が適用されなくなる場合があり、家計全体での税負担が増えることもあります。
103万円・130万円の壁についてのまとめ
項目 | 103万円の壁 | 130万円の壁 |
---|---|---|
内容 | 所得税・住民税が発生 | 社会保険料の負担が発生 |
対象 | 税金 | 健康保険・厚生年金 |
控除の影響 | 配偶者控除が減少または消滅 | 配偶者控除には影響しない |
メリットが消える範囲 | 配偶者控除・特別控除 | 社会保険の扶養から外れる |
どの壁を意識すべきか?
- 短時間パートやアルバイトで働く場合: 103万円の壁を意識して働くか、123万円まで収入を増やしても配偶者控除の範囲に収める方法を検討。
- 安定的に働ける場合: 130万円を超えて社会保険に加入することを前提に、手取り収入が増えるように働き方を調整する。
シミュレーション: 年収103万円・130万円を基準に考える
前提条件
- 時給: 1,100円
- 労働時間: 週20時間(パートやアルバイト)
- 配偶者控除: 配偶者が主に稼ぎ手(年収1,200万円以下)として計算。
- 住民税: 年収100万円以上で発生(地域により異なる)。
- 社会保険料: 年収130万円以上で発生。
1. 年収103万円以内で働く場合
- 年間労働時間: 約936時間(週18時間 × 52週)
- 手取り収入(概算):
- 総収入: 1,100円 × 936時間 = 103万円
- 税金: なし(所得税・住民税は免除、基礎控除48万円以下のため)
- 手取り額: 約103万円
- メリット:
- 所得税・住民税の支払いが不要。
- 配偶者が配偶者控除を全額受けられる(38万円控除)。
- 社会保険の扶養内に留まり、負担なし。
- 税金・保険料負担なし。
- 配偶者控除を最大限活用可能。
2. 年収130万円以内で働く場合
- 年間労働時間: 約1,182時間(週22.7時間 × 52週)
- 手取り収入(概算):
- 総収入: 1,100円 × 1,182時間 = 130万円
- 所得税・住民税: 約8万円(仮定)
- 手取り額: 約122万円
- メリット:
- 社会保険料の支払いが不要。
- 家計全体の収入増加(ただし税負担あり)。
3. 年収130万円を超えて働く場合
前提条件
- 年収150万円のケース(扶養外)
- 労働プラン
- 時給: 1,100円
- 年間労働時間: 約1,364時間(週26時間×52週)。
収支計算
- 総収入:
1,100円 × 1,364時間 = 150万円 - 税金:
- 所得控除: 150万円 – 48万円(基礎控除) = 102万円
- 所得税: 102万円 × 10% = 10.2万円
- 住民税: 102万円 × 10% = 10.2万円
- 社会保険料:
- 健康保険料+厚生年金料: 150万円 × 15% = 22.5万円
- 手取り額:
- 150万円 – 10.2万円(所得税) – 10.2万円(住民税) – 22.5万円(社会保険料) = 約107万円
- メリット:
- 将来の年金が増える。
- 医療保険の自己負担割合が抑えられる可能性。
働き方の選択肢とアドバイス
1. 扶養内で働く(103万円または123万円以内)
- 適した人: 稼ぎが少なくても配偶者控除を活用したい場合。
- 注意点: シフト調整が必要。年末に想定外の収入(賞与や臨時収入)で壁を超えないよう注意。
2. 扶養を抜けてしっかり稼ぐ(130万円以上)
- 適した人: 長時間働ける環境がある場合や将来の年金を増やしたい場合。
- アドバイス: 130万円を少し超える程度では負担が増えるだけなので、年収160万円以上を目指すのがおすすめ。社会保険料負担を吸収し、手取り額を増やせる。
3. 週20時間以内に抑える(106万円の壁を避ける)
- 適した人: 社会保険加入条件を満たさないようにしたい場合。
- アドバイス: 小さな企業や短時間労働を選び、扶養内に留まりながら収入を最大化。
シミュレーションまとめ
年収 | 総収入 | 税金・社会保険 | 手取り額 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|
103万円以内 | 103万円 | 0円 | 103万円 | 配偶者控除の最大限適用、扶養内 |
130万円以内 | 130万円 | 約8万円 | 122万円 | 社会保険料なし、収入少し増加 |
150万円以上 | 150万円 | 約35万円 | 107万円 | 手取り減少だが将来の年金メリットあり |
具体的な行動プラン
- 扶養控除を守るか、超えるかをまず決める。
- 配偶者の収入や家庭状況を考慮。
- 収入と時間のバランスを計算。
- 扶養内で働くなら、収入が103万円や123万円を超えないようスケジュール管理。
- しっかり働くなら、160万円以上を目指す。
- 必要に応じて職場と相談。
- シフト調整や収入管理が必要な場合は早めに相談。
ケース1: 103万円以内で働く
- 目指す働き方: 週18時間程度で働き、扶養内で収入を最大化。
- ポイント: 年末に調整が必要。追加の臨時収入に注意。
ケース2: 130万円以内で働く
- 目指す働き方: 週22~23時間程度で働き、扶養内で収入を増やす。
- ポイント: 住民税・所得税を見越して手取り計算を慎重に。
ケース3: 130万円を超える働き方
- 目指す働き方: 週25~26時間で働き、年収160万円以上を目指す。
- ポイント: 社会保険料負担を考慮し、実質的な収入増加を計画。
- おすすめ収入目標: 年収160万円~180万円。社会保険料を負担しても手取りが増加しやすいライン。
年収160万円の例
- 総収入: 160万円
- 所得税: 約11.2万円
- 住民税: 約11.2万円
- 社会保険料: 約24万円
- 手取り額: 約113.6万円(年収150万円より手取り増加)
コメント